Column 武道教育論@ 異質のものに対応できる人間たれ！ ＰＡＲＴ．２
追加補足：
繰り返しになるが、今回の「篠原事件」は実に残念であった。
今回の事件、実は、世界の中での日本人のイメージを決定的に悪くした最悪の事件＝真珠湾攻撃に似ていると言ったら言い過ぎであろうか？
真珠湾攻撃は、本来、アメリカに開戦を通告した後で行われる予定であった。当たり前のことである。
開戦当日（1941/12/7＝アメリカワシントン時間）の午後一時に開戦通告を手渡し、その約３０分後に真珠湾攻撃が始まるはずだったのである。
ところが、実際には開戦通告がアメリカに渡されたのは当日午後二時のことであった。
何故か？ 答えは「開戦通告の為の正式文書が作れなかったから」。
日本政府の開戦通告の暗号文は６日の夜間から、ワシントンの日本大使館宛に電送されていたにも係わらず、当時の大使館員の怠慢により「暗号解読→正式文書作成」が７日午後一時に間に合わなかったのである。
では開戦通知をタイプできなかった大使館員達はどうしたか？
既に午後一時にアポは取れていた。当然、その場に行き口頭で開戦の通告をすべきだった（口頭での開戦通告は、ルール上ＯＫ＝国際法上、認められていた）。にも係わらず、彼らは独断で、午後一時のアポをキャンセルしてもらい、午後二時にアポを取りなおし、そこで文書を手交。しかしその間に真珠湾攻撃は既に行われ（これは当然ルール違反＝国際法違反）、悪名高き「真珠湾のスニークアタック」が成立してしまった。
今回の事件も真珠湾攻撃も、ルールで認められている本来言うべき時に何も言わず、ルール違反で唐突に実力行使に出て、終わった後で文書で通知する。実に似ていないか？
繰り返すが、真珠湾攻撃は「アンフェアな日本人」のイメージを世界に植え付けてしまった最悪の事件である。
それに酷似する今回の事件により、日本の柔道家、武道家ひいては日本人全体のイメージが悪くなるのを私は憂慮する。
しかし起こってしまった事件を嘆いているだけでは何も変わらない。イメージが悪くなってしまったなら、それを払拭せねばならない。
誰が？ もちろん私達一人一人が、である。
一旦悪くなったイメージを取り返すのは、容易なことではない。唯一できることは、今後、外国人と触れ合う私達日本人の一人々々が良いイメージを植え付けるよう努力することだけである。
それは即ち、今回の首題である「異質の文化・価値観に対し、堂々と対応できる人間になろう」とすることであり、それができる日本人を世界の人は尊敬の念を込めて「サムライ」と呼ぶのだ。
武道を学ぶ人達よ、サムライになろう！！
（2000/10/8 記す）
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